お仕事で育つもの〜社会性〜
「ねぇ先生、今、〇〇くんなんて言ったの?なにタワーって?」
苦心して積み上げたピンクタワーと茶色い階段を見て、他のクラスメイトが「東京タワーみたいだね!」っておもわず感嘆の声を挙げた際、積んだ本人が聞き逃したのか、もう一度言ってもらいたかったのか、私に訊ねてきました。
「〇〇くんに自分で聞いてごらん」と声をかけると
「今なんて言ったの?」って自分からそのクラスメイトに聞きにいくことができました。
とってもとっても恥ずかしがり屋の彼が、そうやってお仕事を通してお友達に訊ねることができたことに、私まで嬉しくなってしまいました。
モンテッソーリのお仕事は個別のお仕事が多いので、社会性が育たないとお考えの方も多いようです。しかし、このように個別のお仕事を介して社会性を発揮できる場が、モンテッソーリ教育の環境ではたくさんあります。
皆で使う一つしかない教具を大切に使う
次のお友達が使いやすいように、お片づけをする
お友達がお仕事をしている時には、むやみに声をかけたり、手を出したりしない
難しいお仕事をしているお友達を静かに応援する。見守る
お友達が困っている時にはお手伝いをする
など、挙げたらきりがありません。
「東京タワー」を積み上げた男の子は、ここに至るまでにピンクタワーを積み、横に並べました。すると茶色い階段との共通部分に気づき、ピンクタワーに茶色い階段を合わせていきました。少しでもずれたら気持ちが悪く、ずれるたび修正していきます。その後、一段一段の差異を一番小さいピンクの立方体と一番細い茶色い階段で確かめていきました。それを5、6回繰り返したでしょうか。そのあとに彼の「東京タワー」を積んだのでした。1時間くらい、一人集中して取り組んでいました。
その達成感からか、爽快な気持ちでいっぱいだったのでしょう。恥ずかしがり屋の彼が自分からお友達に声を掛けることができたのは、感覚機能を洗練するお仕事から得られた大きな大きな収穫でした。
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